「マイナンバーカード」が1人10万円の特別定額給付金の
申請手続きを巡る騒動以降、
改めて注目されております。
オンライン申請はしたものの、区広報誌によると、
振り込まれるまでに3週間かかることが分かりました。
ドイツのように、フリーランスや芸術家への助成金が
申請後わずか1日半後に口座に振り込まれたのとは格段の差です。
原因はオンライン申請されたものを、
手作業で「確認」することにあるようです。
行政側にしても書類での申請の方が手間がかからないようで、
オンライン申請を中止したところもあります。
こうなると、マイナンバーカードって何?
カードのICチップには、
個人情報が埋め込まれそれで認証が済むはずでは。
国民総背番号となったのが、マイナンバーです。
社会保障と税の手続き、災害時の迅速な対応と、
行政の効率化を目的としたものです。
コンビニで住民票が取れたときは、一歩前進かと思いましたが、
それ以外では確定申告の時に使ったくらいでした。
日本は、この国民総背番号になったのは遅いくらいで、
既に多くの国々で取り入れられています。
上手くいっている例としてスウェーデンでは、
子どもが生まれた時点で、
病院が国税庁に届け出ることを義務付けられているため、
児童手当が自動的に支給される。
日本では本人が申告しない限り、給付されないようなものでも
(今回のような10万円給付金)自動的に提供され、
申請漏れがあれば、行政側から連絡があり確実に受け取れる。
いくつかの国では確定申告は、
国が作成した申告書類を確認し、サインするだけで済みます。
他にも、金融機関の取引、個人の売買契約(手続きも簡単)
医療機関の受診と言ったものが、個人番号に履歴として残ります。
ドイツのように、給付金が即座に振り込まれるのも、
この個人番号制度が十分機能しているからに他なりません。
逆に悪用された例としては、
マイナンバーカードの売買、ID詐欺や
なりすましによる年金の不正受給などがあるようです。
日本のマイナンバーカードが普及しない利用者側の理由はとしては、
個人情報を全て国に把握されることへの懸念と、
情報流出の恐れがあるようです。
とても重要なことですし、当然のことです。
問題は、その対極にある、
マイナンバーカードがあることの利便性、効率性と
どう折り合いをつけるかです。
日経新聞 上級論説委員 大林 尚氏は、5月11日の
《個人データ把握は怖くない マイナンバー、安心の利器》の中で
~公権力による個人データの把握をどう考えるかは、人権のとらえ方にあらわれる。
人権を自由権、社会権、参政権に分けると、自由権は「公権力からの自由」、
社会権は「公権力による自由」に換言できる。~
・・・・中略・・・・
~日々の行動を監視されるのはご免だというのが自由権、
犯罪やテロを抑止するためにくまなく見張ってほしいというのが社会権である。~
・・・・中略・・・・
~政府が信用ならんので個人データは渡せない、という声を耳にする。
ならば参政権を行使するまでではないか。
中国と違って、その三つめの人権が私たちには確立されている。~
骨格だけを抜き出してしまうと、何とも観念的になってしまいますが、
スウェーデンは、制度の施行から40年経過した今日、
導入当初あった反対運動も消滅し、
マイナンバーによる行政サービスの恩恵が大きく受け入れられている。
とのことです。
マイナンバー先進国スウェーデンの例は解答と言えるのではないでしょうか。
日本もそろそろ、一歩前に進んでも良いころです。
ちなみに、
「マイナンバー通知カード」は5月25日に廃止となり、
代替としては、「マイナンバーの記載のある住民票」の写しとなります。
これから証券会社に(iDeCoやNISAを始めるにあたり)口座を開こうとお考えの方は、
マイナンバーカード、あるいはマイナンバーの記載のある住民票は必須の書類です。