潮目がかわりつつあるのかも
「ビザスク」と言うスポットコンサルのサイトがあります。ここだけ専門家に聞きたい、この分野に詳しい人に相談したいを結びつけるマッチングサイトです。登録すれば、相談をすることも、アドバイザーにもなれます。
私は「企業型確定拠出年金」DCプランナーとして登録をしております。
以前は1年に1・2件くらいの問い合わせでしたが、今年は3月4月5月と連続で相談依頼が来ました。
ビザスクのシステムは今ひとつ分からないのですが、依頼は全て個人名で来ます。
でも実際の相談案件に入るとなんと依頼者は大手の商社だったり、大手広告代理店と言った法人です。
今年の3件の依頼者は全てコンサルタント会社です。
そのコンサルタント会社への依頼主は、損保会社や〇〇組合だったりです。
(コンサルタント会社さんも、不得意な分野はこんなふうにリサーチするんだ。)
アドバイスを求められたことは、
・企業に「確定拠出年金」を案内するときのポイント
・「企業型DC」の魅力をどう伝えるか
・窓口になる人事担当者さんとの接し方
・「企業型DC」の企業側のメリットについて
・従業員に浸透する投資教育のしかた
・組合が運営管理会社となり「企業型DC」を設置するやり方 等々
(この案件は、私共の範疇ではないので成立しませんでした。)
で、肌感覚の感想ですが、こんなにコンサルタント会社が暗躍(とは言いませんね)するくらい「企業型確定拠出年金」が注目され始めている。
某損保会社であれば、系列の運営管理会社の「企業型DC」拡販です。あるいは、組合傘下の企業をまるまる取り込んだスキーム作りだったりします。
ようやく「企業型DC」の魅力に気が付き始めた
「確定拠出年金」は「個人型iDeCo」か「企業型DC」どちらかの加入者となれます。
「企業型DC」は、個人型に比べメリットの多い制度です。
掛金上限は「企業型DC」の方が「個人型iDeCo」より大きく、積立額が多ければ当然将来の受取額も多くなり、税額控除もより多くなります。加入年齢も企業型は現状70歳まで可能です(会社ごとの規約によります)。
「企業型DC」は厚生年金適用事業所であれば、一人法人でも加入できます。
私は「個人型iDeCo」口座開設を承るときに「会社に確定拠出年金導入の案内ができませんか。」と必ず尋ねます。「企業型DC」導入形態のひとつに「選択制」があります。事業主が掛け金を拠出するのではなく、希望者のみが加入する制度で財形貯蓄のようなものです。
「選択制」は、労使ともにメリットがあり、近年の導入形態の中で一番選ばれています。
「選択制」は加入者の掛金は所得とみなされないため、所得税・住民税・社会保険料の対象とはなりません。
他にも「企業型DC」の主なメリットとして
1.加入時に「投資教育」が義務付けられているので、投資運用の基礎が理解でき、
自ら運用商品を選ぶことができる。
2.加入中の必要経費(手数料)は会社負担のため、個人型と比べ掛金はまるまる運用される。
3.事業主は企業負担分の掛金、諸経費を福利厚生費として計上できる。
事業主も、従業員も同じ制度の中で退職時まで資産運用が続けられるので、「お金に関する」情報共有とコミュニケーションが図れ、ここも大きなメリットと言えます。
会社に「確定拠出年金」があるだけで、資産運用に何より大切な時間(複利効果)を得ることができます。
時間軸の中で、運用を経験することはもう一つの大きな財産となります。
「企業型DC」でなければダメなんです
「個人型iDeCo」は、2017年から企業年金のある会社員や公務員、主婦も加入できるようになり、税制優遇の大きさが知られるようなりましたが、加入者は・・・、実際どのくらいだと思いますか。
加入可能者数の、僅か4%、生命保険の「個人年金」加入者の5分の1です。
しかも、個人型加入者の多くは、既に企業年金のある(大会社等)会社員や公務員さんが上乗せで加入しているのです。更に言えば、金融リテラシーとネットスキル、この両方が備わった個人でなければ、ハードルが高いのです。
「個人型iDeCo」加入経路の多くはネット証券です。銀行や証券会社の窓口でiDeCoを進められることはまずありません。保険の営業窓口は「個人年金」です。
iDeCoの申込書にしても簡単とは言えず、企業型の用紙1枚とは雲泥の差です。そこをクリアーしてもお金の預け先を何処にするかは「投資運用」の基本が分からないと選びようもありません。
今の社会人は「お金の勉強」なんてしてきていませんよね。
いきなり「確定拠出年金は投資信託の運用」なんて言われても、難しいのが当たり前です。
個人の裁量に任せたままの「iDeCo」では、本当に必要な人に届かない。
「確定拠出年金」は「企業型DC」じゃないとダメなんです。
いやな言い方ですが、ここも格差につながるように思えてなりません。
企業が音頭を取って、従業員さんに「確定拠出年金」の道を開いてと、願っております。
コンサルタント会社の暗躍ではなく活躍も期待したいです。