レソト王国
トランプ大統領が言うところの「アフリカのレソトという誰も知らない国」 に、
中国に次ぐ50%という高い関税を掛けると言っています。

レソト? 調べてみると、
周囲を南アフリカ共和国に囲まれた
人口230万人の九州より少し小さい
世界最貧国のひとつとあります。
「天空の王国」と呼ばれる王様のいる国。
レソトの主な輸出品は
リーバイスなどのジーンズで、
親米の国だそうです。
こんな高い関税の根拠となったのは、
レソトの去年のアメリカへの輸出額はおよそ2億4000万ドルに上る一方、
輸入は280万ドルにとどまり不均衡だと。
レソトの一人当たりGDPは日本円で約13万円、
輸出額は米国のGDPの0.0001%未満で、
中国に次ぐ経済的脅威とみなす根拠に乏しいとのことです。
対外援助の大幅削減を正当化する際にも、
レソトでの性的少数者(LGBTQI+)支援に800万ドル(約12億円)を拠出したと主張し、
50%関税はどうやら貿易不均衡だけが理由ではなさそうです。
ただし、レソト王国にとっては、
「工場の閉鎖が起きれば、産業は衰退し、影響はセクター全体に波及すると予想されます。
これは言わば、死を意味します」
貿易不均衡だけでは語れない
トランプさんの言うところの貿易不均衡、貿易赤字は悪いことであり、
アメリカは搾取され続けて来たは、本当にそうなのだろうか。
ウォール街の重鎮で、バフェット氏が尊敬するハワード・マークス氏は、
「それぞれの国で得意なことととそうでないことがある。もしも世界貿易が止まり、
スイス人が自国でパスタを作り、イタリア人が時計を作らなければならなくなれば
人々の暮らしは悪くなるだろう。」 と。
「我々はグローバル化から得て来た利益を過小評価すべきではない。
関税はコストの増加だ。米国民からすれば消費税増税みたいなものだ。」
リーバイスのジーンズはレソト王国で作られ、
アップルのiphoneだってテスラ車だって、中国が無ければ完成品とはならない。
一方、iphoneは世界中で使われ、
マイクロソフトやアマゾンのクラウドサービスは世界中の政府が利用している。
貿易赤字は、経済活動の活発さを示す側面を持ちます。
貿易赤字は必ずしも経済悪化を意味しないという見解が近年強まっています。
米国は輸入の量を増やすことで貿易赤字ですが、
米国株式指数S&P500は1991年以降2桁のトータルリターンを続ける世界一の経済大国です。
多国籍企業の海外生産拡大による収益が必ずしも自国に還流されない、
従来の貿易統計が実態を反映しにくくなっているなど、
必ずしも貿易赤字が悪いことで、国内経済の縮小を意味することではありません。
ハワード・マークス氏の見解が正しいと思います。
貿易戦争をするよりは、互いの得意部分で互いを補い合う方が楽ですし、豊かになれる。
関税を上げても貿易赤字は解消しない。
「天空の王国を聞いたことがないって? ゴルフばかりしていて気付かないのだろう」
「レソトは全土が標高1000メートル以上にある世界で唯一の国だ。あなたの支持率よりも高い」
「私たちはこの国にいることに誇りを持っている。あなたのジョークのネタではない」
米国大統領や政治家はこんなX(旧ツイッター)の投稿を見ただろうか。