5000万円の金融資産でも買えない

「住宅購入を検討していますが、予算としていくらまでが適当か」とのご相談です。

これだけのことでしたなら、相談料を頂くまでもないので、メールでお答えしました。

一般的には年収の5倍~8倍くらいと言われますが、

まずは、借りられる金額より、毎月無理なく返済できる金額を見積もることをお薦めします。

 

毎月の返済額も一般的には年収の25%までと言われますが、

ご家庭の事情により異なると思いますので、以下をご検討のうえ、購入予算を立ててみてください。

・ローン期間は何年にするのか

・頭金の準備はどのくらいできるのか

・両親からの援助は可能か

 

フラット35のシミュレーションサイトでも見積もりが出来ますよ。

https://www.flat35.com/simulation/sim1.html

 

〇〇様は、AIを使われますか。

私は、https://www.perplexity.ai/ を使っておりますが、(無料です)

私より優秀で、気づかないようなことまでフォローします。

よろしければ、使ってみて下さい。

返信では、面談を希望されたのでzoomでお会いすることになりました。

 相談者の真意は

相談者は高収入の方で、金融資産も十分お持ちでした。

借入額は少なくありませんが、収入からみても3倍程度で決して無理な金額とは思えません。

住宅ローン金利は上昇が見込まれますが、繰り上げ返済も、

定年時に一括返済も可能な方です。

変動金利でも良いのではと提案し、

まずはキャッシュフロー表(以下CF表)で確認しましょうとなりました。

「CF表は販売業者が作成したものがあります。」で、

送って頂いたライフプラン表(CF表)を拝見し、

ご相談者の真意が分かりました。

下図は、業者作成のCF表のグラフです。

折れ線グラフが金融資産残高ですが、定年時8000万円以上ありますが、

以後は支出が収入を上回り、金融資産は右肩下がりで70代後半にはマイナスになっています。

金融資産残高の推移表でも、ブルーの預貯金が減り続け、

89歳では4000万円以上のマイナスとなっています。

これでは、老後資金がない。住宅購入してもよいのだろうか、となりますよね。

相談者はいくらの物件が買えるのかではなく、住宅購入そのものと

将来の生活設計に不安を覚え、面談を乞うてきました。

 キャッシュフロー表は

CF表では、収入から支出を引いた年間収支や金融資産残高が確認できます。

作成にあたっては、ヒアリングをしながら数字を入れていきます。

10年先のことは不確定なことも多く、余り細部に拘らず、

ざっくりと将来のお金の動きを掴んで頂ければよいと思います。

キャッシュフロー表に正解はなく、前提条件を替えて何通りかシミュレーションします。

下図は私の提案CF表です。

30年後のことは不明なので、支出は基本生活費にまとめ、

65歳までは対前年比2%上昇としましたが、それ以降は65歳時の生活費で固定しました。

このCF表では定年後、年間収支はずっとマイナスで、

資産の取崩しなのですが、90歳でも金融資産はゼロにはなりません。

先の業者作成のCF表では、基本生活費が対前年比2%上昇は同じなのですが、

それが89歳まで続きますので、支出が収入の年金額の倍以上となり資産が枯渇してしまいました。

CF表に正解はなく、入力の前提条件が異なると全く違った結果となります。

肝心なのは、CF表の数字を確認修正しながら、今後のライフプランをどう創るかです。

 不安で買えない

先日、地価の公示価格が発表されましたが、バブル崩壊以降最高値となったとのことで、

益々住宅取得は困難となるのでしょうか。

高収入であっても、5000万円の金融資産があっても、不安で買えない。。。

相談者は、もう一つ安い物件を紹介されたようですが、

それにしても、折角住宅購入を検討しているのに、

将来赤字になるシミュレーションを提示している意図は何なのだろうと思ってしまいました。

収入が年金のみとなった時の生活費をどう見るかは個人の問題ですが、

どんなCF表でもライフプランの改善や工夫の余地はあります。

そもそもそれを知る手掛かりとなるのがCF表です。

この方の金融資産は預金だけでしたので、NISA口座の活用をご提案しました。

運用を体験すると不安心が引いて行きます。お金の使い方も見えて来ます。

高収入の人は、運用はしないものなのか等々、いろいろ考えさせられました。