「フジテレビの株、買おうかな。」「買いたいけれどどう思いますか。」
渦中のフジテレビの株式の話しで、ちょっと盛り上がりました。
ネット界隈では「フジテレビ」の話題100出で、国民的関心事かもですね。
投資家目線で「フジテレビ」を見てみると、いろいろな意味で興味深いです。
株が買われるわけ
フジテレビは、フジ・メディア・ホールディングス(以下フジ)の中の1社で、
株式を探す時はフジ・メディア・ホールディングス(銘柄コード4676)です。
フジの収益構成は、主にメディアコンテンツ事業と
都市開発などの不動産事業から成り立っているようです。
株価は、昨年12月20日以降荒い値動きで推移しています。
投資指標だけで見ると、直近のPERは13.66倍、PBRは0.45倍、ROE4.4%、
配当利回りだって2%台と、今すぐ買いたい投資先とは思えません。
それなのに、1月9日につけた今年の最安値1,599円から 20%も上昇しているのは、
利ザヤ稼ぎを狙った投機的な買いと、YouTubeでの「みんなで株主総会に出席しよう」
との呼びかけに反応した個人投資家の買いが入った模様です。
株価は短期的には、思惑や一時的なトピック材料で動きますが、
長期的には投資した会社がどれだけ稼いでくれるか、
株価を決める大きな要因は企業業績です。
株主になるということは
フジテレビの大株主、米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」が
第三者委員会設置を要求する書簡を送り注目されました。
そうです。株主は企業に、「物申す」ことができるのです。
個人株主が増え、経営陣の刷新を求め、堀江貴文氏が掲げるフジテレビ改革案*
が多数となれば、フジテレビ側も従わざるをえません。
*デジタル化の推進で動画配信サービス強化、SNS連動で外部から新しい視点を持つ専門家を採用、
柔軟な番組制作 若者向けやトレンドを意識した番組作り
日々の経営判断は取締役会や経営陣に委ねられますが、
商法上では会社は株主のもので、株主は意思決定に参加する権利を持っています。
フジだけではなく、日本の株主構成において個人株主は圧倒的に少なく、物言わぬ株主です。
米国で起きたゲームストップ株(SNSで呼びかけ集まった個人株主によって、
ヘッジファンドを負かした。)のようなことは起きないのでしょうね。
ESGのGは
「多くの取締役が長期にわたって任期を務めている。
取締役会が経営陣の責任を追及する組織ではなく、
居心地の良いクラブのようなものになっている」と指摘した。
ー1月25日日経新聞朝刊よりー
フジの株主、英国運用会社ゼナーアセットマネジメント は、
企業統治を改善すべきとの認識を示しました。
国連が推奨する持続可能性への取組み
「E(環境)S(社会)G(企業統治)」は世界的にないがしろどころか、
逆風が吹いているのは残念でなりません。
「ESG」のGは、透明性を持った経営、コンプライアンス、リスク管理、
取締役会の構成と機能の充実など、企業が適切な経営を行うための指針です。
社外取締役の設置もそのためですが、より多くの意見が反映されるには株主の眼が重要です。
ESG経営を行っている企業を評価し、投資を行うのが「ESG投資」 です。
フジテレビのようなメディアは公器の役割もあり、社会的責任があります。
会社は決して、株主だけのために存在しているのではありません。
そこに働く従業員、そして何よりテレビを見てくれる視聴者がいるからこその会社です。
AC広告だけが流れる異様なチャンネルをいつまで視聴するでしょうか。
Society(社会)とGovernance(管理体制)を忘れた会社の株は買いたくない。