旧NISAから新NISAへの移管案内でお会いした、お客様から教えて頂いたことがあります。
所得税も社会保険料もかからない収益
「値動きが激しくない投信を選んで頂きましたが、
それでも約60万円のプラスとなっていました。
所得税と社会保険料の控除がない60万円というのは本当に大きいですね。」
40代のH様は、不動産業を営まれるFPさんです。
「所得税と社会保険料の控除がない収益」、ハッとしました。
NISAのリターンは金融商品から得られる「金融所得」です。
給与所得でも、事業所得でも所得税・住民税・社会保険料は引かれますよね。
そうか~、不労所得な上に、所得税と社会保険料もかからない収益なんだ。
「NISAは非課税ですよ。」の説明は当たり前のようにしますが、
Hさんの仰る通り! NISAは非課税だけでなく、社会保険料もかからない収入。
ゆめゆめ、不労所得を侮ったり、罪悪感を持ってはいけない。
投資は儲かればいいの
「S&P500、オルカン(世界株投資信託)の中には核兵器、武器を作っている会社、
地球温暖化を早めるESGにそぐわない銘柄も入っている。
本当にそんな会社に投資したいの。投資は儲かればいいの。」
S様は、長年生命保険の営業に携わり、
変額保険を通じて資産形成やライフプランの提案をされてきた方です。
S&P500には、軍事関連企業が2.2%(12社)、オルカンは1.8%(35社)、
核兵器を製造販売している企業も含まれています。
そしてそれらの武器が今も実際に戦争で使われています。
毎月勉強会でお世話になっております
フランスの運用会社コムジェスト・アセットマネジメントの高橋庸介社長は、
「私共の世界株ファンドに軍需産業は一切入っておりません。」
インデックス型とアクティブ型の違い、哲学を持って投資先を選別していることを強調されます。
S様のご提案する変額保険の世界株ファンドはコムジェストだそうで、
「きちんと説明すると、手数料のところも含め納得してもらえます。」
NISAで一番買われているのは、オルカンとS&P500です。
インデックスファンドで、手数料も安く投資先として、否定するものではありません。
けれど、実際に投資先の企業まで理解して買っている人はごく僅かでしょう。
日本はNISAが緒についたばかりで、投資文化が育つのはこれからです。
まずは、S&P500・オルカンでも始めること、成功体験を得ることが優先ですが、
投資は儲かればいい、手数料が安ければいいだけでありません。
選挙は、自分たちの将来を誰に、何処の政党に託すかの投票行為です。
自身の1票がより良い社会となるため、自身の幸せに繋がるとの想いで選びますよね。
投資先を選ぶのも本質は選挙と同じです。
消費者、生活者である個人が投資家の側面を持つことで、
企業は生産性の向上やコンプライアンス、
環境への配慮を意識し企業価値を高めるマインドが働きます。
投資先を選ぶ行為、投資信託であれば哲学を持ったアクティブファンドは不可欠です。
もし、NISA口座の参加者全員がオルカンとS&P500を選ぶと、
他の投資信託はいらない、日本株は選ばれず、新規上場株にも投資資金は回って来ない。
投資先の選別がされず、優秀なファンドマネージャーもいなくなります。
行き着く先は切磋琢磨のない平坦なマーケットで、イノベーションも生まれない。
投資は儲かればいいだけではなく、経済的な安定を享受するためには個人と社会、
将来世代も含め何より良い企業を育てる行為「投資先を選別する」ことも投資家の役割です。