『虎に翼』は終わっても

先週10年ぶりに宇都宮駅東口に降り立ちました。

路面電車LRTが走り街並みも様変わりで、私の知らない新しい街でした。

宇都宮駅東口《平賀ファイナンシャルサービシズ(株)》

昔の職場の同僚と会うのも10年以上ぶりです。

年金世代の女性3人の話題は、互いの疾病の告白、年金の話しなどなど、

そして一番盛り上がったのは、朝ドラ「虎に翼」でした。

「よく、あんなに分かり易い法律ドラマ作ってくれたね。」

「出産とキャリアのこと、子育て、夫婦別姓だって、同性婚も今に繋がっている。」

「はて?でも、少しずつでも時代は良くなっている、かな。」

描かれていた女性一人ひとりに共感しきりなのは、

今もまだ「はて?」が多いからでしょうか。

 日本は賃金格差が大きい

ジェンダーギャップ指数、ご存知ですか。

ジェンダーギャップとは、男女の違いにより生ずる格差のことです。

この違いを数値化し、世界経済フォーラムが毎年発表しています。

「ジェンダーギャップ指数」は経済、教育、健康、政治の4分野ごとに分かれており、

数値の開きがあるほど、男女の差が大きいということになります。

 

2023年の調査で日本は世界146カ国中118位で、

先進国の中では最下位。

順位を下げているのは「経済」「政治」の

2つの部門です。

女性の経営者や管理職、

女性の政治家が他の国に比べ少ない。

 

都知事は女性だし、

この数字ほど差があるようには思えないのですが、

ただ他の国ではクリアしている、

本来あるべきではない

格差に気づかないだけかもしれません。

 

男女の差が顕著なのは「賃金」です。

OECD(経済協力開発機構)によると、2022年の日本での

「男女の賃金格差」は21.3%、米国は17%、英国は14.5%と日本より低く、

OECD加盟国の平均は11.9%。つまり日本は先進国の平均と比べて約2倍の格差です。

具体的な数字で見ると、いかにも女性の賃金は低い。

25歳以降年齢が高くなるに連れて差は開くばかりで、

50歳~59歳では男性が416.5万円なのに、女性は280万円と、男性の67%です。

年齢階級別賃金《平賀ファイナンシャルサービシズ(株)》

賃金格差の原因には、

・そもそも男女の担う仕事に差がある。

・出産、育児等によりフルタイムの働き方が男性より困難。

・非正規雇用の割合が高い 等々。

「扶養控除」や「年金の第3号被保険者制度」も、女性の経済的自立を妨げ、

老後貧困リスクになりかねないとの指摘もあります。

 将来の年金にも影響

賃金格差は将来の年金格差にも繋がります。

厚生労働省の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、

国民年金の平均受給額は5万6,479円、厚生年金は14万5,665円です。

国民年金は40年加入で6万6,250円ですが、現状の受給額は1万円も少ない。

更に、厚生年金受給額が10万円未満の男性が34%なのに対し、女性は85%。

国民年金では年金受給額が5万円未満の割合は男性34%に対し、女性は78%。

今でも女性の年金は男性に比べ少なく、受給額10万円未満が大多数です。

下図は、現在30歳以上の人が将来受け取る年金の予測です。

これからの年金《平賀ファイナンシャルサービシズ(株)》

現在30歳の男性が65歳で受取る平均年金額は月21.6万円。女性は16.4万円。

夫婦では33.3万円です。

増えているように見えますが、物価上昇の影響を除いて算出とのことで、

35年後の金額としては現状よりはるかに厳しい。

物価上昇率が年2%では35年後の10万円は今の5万円の価値しかありません。

35年後も男女の年金には開きがあります。

様々な事情で差が生じ完全に同一とはならないでしょうが、

単身女性にはより厳しい現実です。

女性の方が長生きでも、年金は男性の3分の2で過ごさなければならない。

女性活躍推進法が出来ても、

賃金格差イコール年金格差は30年後も解消されないのでしょうか。

ジェンダーギャップ解消のためにも、「賃金格差」に真剣に取り組むべきでは。

せめて、選挙の比例区を女性と40代以下に限る位にしたらどうかな。

『虎に翼』は終わっても、課題はまだまだ続く。

女性こそ、確定拠出年金、NISAです。

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