認証バイアスに囚われていたかも

白黒画面、1957年の古い映画を

アマゾンプライムビデオで見つけました。

 

父親殺しの罪に問われた少年の裁判で、

12人の陪審員全員が一致しないと評決が出せません。

11人は有罪で死刑の側です。

ただ、一人の陪審員は、

「有罪とする確証が持てないので、話し合いましょう」と。 

ヘンリー・フォンダ演じる陪審員は

決して自説を声高に訴えるのではなく、

疑問点を一つ一つ問いかけます。

扇風機の壊れた狭い部屋で

汗まみれの12人の男達の話し合い検証が始まり、

一人またひとりと有罪を覆し無罪側が増え、

最後は全員が無罪と決します。

 

描かれているのは、認証バイアス(認知的な偏り・先入観)が

一つひとつ解きほぐされていく過程です。個人の感想です。

当時はおそらく認証バイアスの概念はなかった頃と思われます。

 最初に提示された情報に過度に依存してしまい、

その後の判断がその情報に引きずられる(アンカリング効果)

ある人や物の一つの良い(または悪い)特徴が、

全体的な評価に影響を与える (ハロー効果)

すでに投入した時間や資金を惜しむあまり、

不合理な判断を続けてしまう  (サンクコスト効果)

特定のグループやカテゴリーに属する人々に対して固定観念を持つ

 (ステレオタイプ)

感情に基づいて素早く判断を下す  (感情ヒューリスティック)

人は自分の支持する情報を探し、反証する情報を無視する傾向があるようで、

そのことに気づいた時、全く別の見え方、あるいは真逆の結果を生み出す。

疑う余地がないと思っていたことは、検証もされないただの思い込みだった。

凄い映画です。

 インデックス型とアクティブ型

投資信託にはインデックス型とアクティブ型があります。

日経225インデックス型投資信託は、

日本の代表的な225社の株式を一つにまとめた投資信託です。

S&P500インデックス型投信は米国の代表的な500社に、

世界株式オルカンは一つの投資信託で世界中の株に投資できます。

インデックス型投信は、市場全体に投資するもので、

分かり易さとコストの安さでつみたてNISAの主力商品となっています。

インデックス投信が市場平均のリターンを狙うのに対し、

アクティブ投信は、インデックス投信の成績を上回るパフォーマンスを上げるべく、

時間とコストをかけてリサーチし投資先を選別します。

ウエルスアドバイザーのファンド検索機能を使って、

国内株式型投信、実績10年以上、日経平均を上回る、を条件に投資信託を検索しました。

日経平均を上回る投信は20本ありました。

下図の2つの投信は、

通貨選択型、中小型株やテーマ型を除いた日本株全体に投資するファンドです。

日経平均とのファンド比較 平賀ファイナンシャルサービシズ(株)

スパークスは運用開始以来16年、ひふみプラスは12年の実績があります。

10年平均でみると、日経平均を上回り年率で2桁の運用実績です。

スパークスはNISA成長枠対象、ひふみは積立枠、成長枠どちらでも可能です。

同様に海外株式のファンド比較です。2つのベンチマーク、

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスと、

S&P500インデックスを上回るファンド、

アライアンスバーンスタイン米国成長株投信Bコースの10年平均リターンは年率19.79%です。

海外株ファンドのインデックスとの比較《平賀ファイナンシャルサービシズ(株)》

アライアンスバーンスタインは運用開始が2006年5月から18年のファンドで、

設定来成績はベンチマークのS&P500を上回る成績で、NISA成長枠対象ファンドです。

 検証が何より大事

絶対インデックス型がいい、アクティブ型の7割はインデックス型に勝てない、

アクティブ型を勧めるのは手数料稼ぎだ。

これらは多分にバイアスのかかった見方言い分では、と思い至りました。

そもそもインデックス型とアクティブ型を比較すること自体意味がありません。

手数料が違ってくるのは投資先をリサーチすることなく

コストが殆どかからないインデック型に対し、

アクティブ型は運用先選別に手間暇をかけているからです。

手数料だけで全体を語るのは、

一つの情報だけに過度に依存してしまうアンカリング効果、

あるいは一つの良い特徴が全体的な評価に影響を与えるハロー効果かも。

YouTubeや その他のメディアで目にするインデックス型礼賛はコピーされ、

繰り返されるステレオタイプ、あるいは同調バイアスかもと疑わなければなりません。

要はインデックスVSアクティブではなく、

一つ一つのファンドを見て検証しなければならないのです。

そうしないと圧倒的多数のインデックス型に引きづられて、

より良いファンドを見過ごしてしまいます。

投資は選挙と同じで、意思表示の一面があります。

インデックス型投信ばかりになると市場の選別機能が働かず、

新陳代謝が進みません。

優秀なファンドマネージャーがいなくなり、

哲学を持って運用するファンドがなくなります。そうなると結局は・・・。

「12人の怒れる男」にインスパイアされ、はたと気づきました。

アクティブ型でも良いものはよいと思いながらも、

今まで認証バイアスに囚われ、検証もなく正しい情報を示せていなかったのでは。

インデックス型でもアクティブ型でも、

自身の投資目標や運用スタイルに合ったものを、リスク許容度に応じて選ぶのが基本です。

どちが適しているか、あるいは使い分けをするのは投資者ご自身で

最初から選択肢を制限するなんてあってはならないことでした。