「夫が、投資用不動産を購入したいって。。。」
住宅ローンもまだ残っているとのことで、奥様は乗り気ではありません。
貯金よりはローン返済の方が、実物不動産が残り家賃収入も魅力です。
返済表を見るとローンと家賃が相殺され、毎月の持ち出し分は1,399円です。
キャッシュフロー表で見ると
築15年販売価格1760万円・25.42㎡の物件価値が妥当かどうかはさておき、
業者の説明通りに35年ローンで果たして心配はないのか。
業者の説明では、不動産投資をすると所得税・住民税が安くなり、
シミュ―レーショでは購入前の所得税30.8万円、住民税37.4万円が
購入後ではそれぞれ17.0万円、27.3万円とあり、節税効果を一番に謳っております。
業者側の資料の数字をそのまま使いザックリですが、キャッシュフロー表を作ってみると
月額収支マイナス1,399円、年16,788円では収まりません。
(概算で正確を期するものではありません)
所得税・住民税が軽減されても、家賃収入だけでは
ローン返済、管理・修繕費、毎年の固定資産税は賄えません。
それでも年間収支の赤字分は、
将来のキャッシュフローを得るための不動産投資と考えるべきでしょうか。
契約前に確認
1)サブリース契約
物件は大阪にあり、
購入者は遠方で入居者募集から管理までを業者に任せるサブリースのようです。
収支に関する情報には57,800円の家賃は※印で家賃保証とありますが、
この57,800円は将来見直されることもあります。
サブリースで買われた方の多くは契約時の金額が保証されるものではないことは経験済みです。
2)ローン金利1.42%は
〖ローン計画〗にはイオン銀行、1,750万円35年ローン金利1.42%の表示ですが、
固定金利とはありません。10年固定なのか、変動なのか、銀行で35年固定金利は考えづらいです。
将来の金利上昇も考慮しなければなりません。
3)管理費や修繕費は
〖収支に関する情報〗には管理費・修繕積立費用が月額6,300円とあります。
こちらも将来値上がりや、その他の持ち出しはないのか。
4)税効果は正しいか
確定申告シミレーションには投資用所有物件の効果として、
所得税・住民税が2024年から4年間の合計で994,000円の節税が想定されます、とあります。
この部分は詳細な説明を求めたいところです。
不動産所得と給与所得は損益通算ができ、
不動産投資で赤字が出ると結果として所得税から引くことができ節税につながります。
不動産所得は、不動産収入から必要経費を引いたものです。
必要経費としては、
・租税公課(登録免許税、不動産取得税、印紙税、固定資産税、事業税)
・損害保険料(火災保険等)
・減価償却費(1年毎に建物の価値は下がるのでこの部分も少なくなる)
・修繕費・借入金利息残高・管理費 等
を引くことが出来ますが、控除額は経年により少なくなるかもしれません。
5)35年ローン
35年間住宅とは別なローンを抱えることは、
当初の見通し通りいかない限りきついかも知れません。
家賃に滞納がなく、物件自体の価値が保たれ、あるいは値上がりし、
何より本業の所得が安定し、家族も健康で過ごせる。
決して、不動産投資を否定するものではありませんが、慎重な検討が必要です。
税制だって変わります。
販売業者のサイトを見ると、物件の説明はオンライン、
テレビ会議システムを用いた重要事項説明、電子署名による電子契約と、
全てネット上で完結のようです。
「大阪の物件どうでした。」
「見に行っていません。業者の方は見に来る人なんていませんって。」
えっ、今ってそうなの?