そもそも壁を作らないことの方が

 年収の壁を検証

政府は「年収の壁」がネックで、就業時間を押さえたり減らすことによる弊害対策として、

助成金を支給するとのことです。

年収の壁《平賀ファイナンシャルサービシズ(株)》

「年収の壁」とは、従業員101人以上の企業でパート等で働く人の

年収が106万円を超えると社会保険料負担が生じ、

それを避けるために働く時間を抑えてしまうことです。

従業員100人以下の企業ですと年収130万円超えで負担が発生します。

「年収の壁」問題は、厚生年金の「第3号被保険者」問題でもあります。

*「第3号被保険者」とは会社員や公務員(第2号被保険者)の配偶者として扶養されている主婦(主夫)

社会保険料の本人負担分は、健康保険料が賃金の5%(40歳以上5.91%)、

厚生年金保険料は賃金の9.15%、雇用保険は0.5%です。

例えば、年収105万円の場合、社会保険料は0円ですが、

年収が106万円になると、社会保険料は約15万円になります。(40歳以上約16万円)

ザックリですが、106万円の年収を超えると月額12,000円以上の社会保険料負担となります。

その分手取金額が減り、年収106万円で働くのなら105万円にしようとなりますよね。

別に所得税も発生しますし。

東京都の最低賃金は時給1,113円ですので、

ひと月23日働いたとして月収20万円、年収240万円と仮定すると、

社会保険料は約35万円(40歳以上約37万円)となり、

手取り収入は税金控除も含め月額で4万円弱少なくなります。

が、106万円未満で働いたときの手取り8万8千円に比べると約倍額になります。

 健康保険と年金の給付は

健康保険は「年収の壁」の内側で働く分には扶養扱いとなり、

医療機関で受診したときの自己負担は3割で済みます。

「年収の壁」の外側、自ら保険料を負担している人の自己負担分も同じく3割です。

ただし、賃金の5%の健康保険料には、

医療費だけではなく、4日以上の休業補償として傷病手当金があります。

次に、年金です。

「年収の壁」の内側で働く人は、第3号被保険者となり

保険料は配偶者が加入する年金制度が負担しますので、自らの負担はありません。

65歳以上で受取るときは老齢基礎年金となり、金額は以下のように計算します。

777,800円×(保険料納付済み月数÷480ヵ月)、

加入1年につき年金年額は約2万円です。

40年加入時の満額受取額は月額6万4816円です。

「年収の壁」の外側で働く人は、厚生年金の被保険者となります。

厚生年金受取額は「平均標準報酬月額×0.5481%×加入月数」 で計算します。

平均標準報酬月額が20万円で加入月数240ヵ月では、年金年額263,080円、

そこに老齢基礎年金部分が加わり、合計で1,040,880円になります。

年金受給額の計算《平賀ファイナンシャルサービシズ(株)》

将来を見越した選択肢としても、「壁の内側」の働き方が本当に自分に合った働き方なのか。

壁がなければ女性のスキルアップの意欲が増し、

消費や納税が増えて経済成長を促すという統計もあります。 

 そもそも壁を作らないことの方が

「年収の壁」に対する政府の補助に対しては反対意見も多いのです。

・国民年金第1号被保険者は、年収106万円でも健康保険料と

 国民年金保険料を払っている。

・厚生年金加入の単身者は年収120万円でも社会保険料を負担している。

・何故、扶養の範囲内で働く第3号被保険者をこれ以上優遇するのか。

「労働時間だって、正社員の6割とはいえ、1日は1日で終わってしまう。」

「働く時間はそんなに変わらないのに、収入を見ると倍も違う。」

「パートだって責任を持たされるのに、なんだか損してる感じ。」

「1年の3分の1は土日祝日でお休み、有給休暇もあるし。」 

「リモートで働ける正社員の人が羨ましいい。」

現に、パートで働く人の80%がもっと働きたいと言っています。

働く女性の事情は男性より多義で、一律ではありません。

もっと働きたいと思っていても、現実には難しい。。。

支援するのであれば、手取りが減る分2年間は補助しますよなんて付け焼き刃ではなく、

もっと働ける環境を整える支援の方が良いと思うのですが。

例えば、子供が熱を出したときはいつでも帰宅OKの環境作りを奨励するとか。

正社員での働き方を柔軟にした企業を助成するとかじゃダメなのかな。

そして、松下幸之助翁が言うように

「自分の仕事からの収入を得る一方で、株主となって配当を受ける」

この視点も重要で、金融資産からの収益を得るNISAは必須となります。

来年からのNISAは年間預入額が360万円となります。

より多くNISAを活用するためにも、収益を増やすはありですよね。