健康保険・厚生年金保険料が労使折半なのはご存知の通りですが、
実際は企業負担の方が本人負担分より金額が多いのをご存知ですか。
それは、会社負担分には健康保険料・介護保険料、厚生年金保険料以外に、
<子ども・子育て拠出金>が含まれるからです。
下図は事業主宛ての「社会保険料納入告知額・領収済額通知書」です。
社内でも経理担当の方が目にするくらいで、
企業に<子ども・子育て拠出金>負担金があることを知る人は少ないでしょう。
※<子ども・子育て拠出金>は、子どものあるなしに関係なく、厚生年金加入の全従業員報酬で計算され、
活用先は児童手当、放課後児童クラブや病児保育などに充てられます。
<子ども・子育て拠出金>は全額事業主が負担し、厚生年金保険料とともに毎月拠出します。
令和5年度の保険料率は1,000分の3.6 です。
子ども・子育て支援も、広い意味で社会保険なのでしょう。
少子化対策は政府の重要課題のひとつですが、その財源は消費税、国債発行ではなく、
医療保険(健康保険・介護保険)への上乗せで決着するのでしょうか。
社会保険料は 消費税のように国会の承認を得ることなく徴収できる安定財源です。
企業は、社会保険適用範囲拡大に続き、
<子ども・子育て拠出金>以外にも新たに「少子化対策費」も負担増となるのかなぁ。
因みに、少子化対策費の個人負担は1人500円位との試算があるようです。
女性が働きやすい職場
夕方のTVニュースを見ていると、若い女性がごみ収集車を運転し、
快活に収集している姿が映っています。
女性のごみ収集員!?
ごみ収集って、きたない、きつい、危険の3K職業(ごめんなさい)で
女性に選ばれるような仕事とは思えない。
なのに、彼女たちはなんと生き生きと働いているんだろう。
で、ネットで調べてみると、
広島県安芸市にある廃棄物処理業株式会社タイヨーで働く女性たちでした。
・収集員の4割が女性!
・会社の敷地内に無料の保育園がある!(ほんと?)
・家具付きの寮完備!(家族向けタイプもある)
・男女別の休憩室、奇麗!(シャワー・パウダールームあり)
・かっこいいユニフォーム!(洗濯は会社がしてくれる)
・社内研修は言葉使いのビジネスマナーから経営まで!
・家族を含めた数々のお楽しみイベント多数! 等々
この他にも、至れり尽くせりの社内支援がてんこ盛りなんです。
お疑いでしたなら、こちらでご確認下さい。
仕事と子育ての両立が叶う職場
でも、他の条件がどんなに良くても子供のいる女性が働くとなると、
一番のネックは「子育てとの両立」ではないでしょうか。
「子供が熱を出すとすぐ迎えに行かなければならない。」
「学校の行事のために休暇を取りたい。」
「預かってくれるところがない。」「子供が心配で。」などなど
自分のやる気や意思だけではどうにもならないことの方が多いのです。
でも、タイヨーさんは、会社全体でカバーし合うから
気兼ねなくいつでも気軽に子供のための休みが取れる。
会社の敷地内に保育所があるので、いつでも子供の様子が見られる。
TVでは、小さな子と遊んでいる男性社員が映っていました。
パパではありません。
シングルマザーの方も多いので、
男性社員もみんなが普通に子供に接し遊び相手になっています。
育児休暇後の復職率が100%も頷けます。
ごみ収集は、社会の大切なインフラと誇りを持って本当に楽しく働いている。
「ありがとうって言われると嬉しい。」
地域の方も、彼女たちが来るのを楽しみ待っていて、
手を振ってくれたり、時には差し入れもしてくれる。
「女性にとって働きやすい職場は、男性も同様」と、元山社長。
タイヨーさんは、YouTubeチャンネルを持っていて、たくさん配信しています。
収集で回っているいると手を振ってくれることが「ある、ある!」
3人の若い男性社員が照れ笑いしている動画、微笑ましいです。
小さなことの方が威力があるかも
少子化対策、子育て支援が大切なことは言うまでもありません。
そのためには費用も掛かり、負担も必要なのは分かります。
でも、全て政府が音頭を取り、予算を付けることだけで叶うことなのでしょうか。
タイヨーさんのような企業主体の取り組みは、
より直接的で地域も巻き込んだ子育て支援は解決策のひとつ、大きいですよね。
何より、女性が安心して子育てができ、働ける環境こそが重要なはず。
TVやタイヨーさんのYouTubeで見る限り、
女性も子供も、社長も男性社員も、地域の人達も笑顔に溢れ、
働く人良し、会社良し、地域良しの3方良しとなっていて、じ~んと来ました。
国の施策はそれとしても、
企業単位で、あるいは地域単位でも、身近なことで、できることがある。
小さなことでも、小さなことだからこそ、
ほんとに必要なものが見え、効率の良い子育て支援になると思われます。