日本にGAFAが生まれないわけ

 

WBCの試合すごかったですね。

世界一です。

イタリア戦からはフルでTVに見入ってしまいました。

世界一なんて、やっぱり震えますし、

今の日本はどれほど勇気づけられたか。

試合を見ていて気付いたのですが、日本チームは投手も野手も20代が多く、

参加チームの中ではおそらく平均年齢が一番若いのでは。

AIチャットに聞いてみましたが、米国選手の平均年齢は28.8歳、日本選手は27.3歳との答えです。

果敢に道を切り開き、まだ見ていない世界を見せてくれるのはやはり若者です。

その若い芽を摘むようなことをしてはいけない。

 

 映画『Winny』に思うこと

映画『Winny』は、衝撃的で考えさせられました。

Winny(ウイニー)は、簡単にファイルを共有できる革新的なソフトで、

200万人くらいが利用していたようです。

中には、映画や音楽を無断でダウンロードし著作権侵害をおこしたり、

ウイルス対策が完全でなかったため、秘密ファイルが流出したりと、大きな問題となりました。

(20年前になるんですね)「Winnyを使ってはいけない。」保険会社のお達しです。

仕事で使うパソコンはWinnyのソフトが入っていないか厳しくチェックされました。

Winnyが映画に?

当時winnyを巡る裁判があったことも、Winnyの事も映画を通して初めて知りました。

winnyの開発者金子勇さんは、世情に疎いオタクのように描かれていましたが、

他の人が3か月かかるプログラミングを2週間で仕上げる紛れもない天才です。

小さい頃から自分の大好きな世界に没頭し、才能を伸ばし、生み出されたのがwinnyです。

ところがwinnyは悪用され、金子さんは著作権法違反ほう助の罪に問われます。

〝悪用されたソフトの開発者は、罪に問われるのか〟が争点です。

映画Winny《平賀ファイナンシャルサービシズ(株)》

金子さんは純粋に、画期的で新しいソフトを作ろうとしていただけで、

Winnyの持つ欠陥も直そうとしていました。

〝たった2行、5分もかかりません〟の訴えは拘留中も、裁判中も認められません。

金子さんの開発した、匿名性の高いファイル共有ソフトは、

不正を告発するには、ぴったりのソフトで、

映画では愛媛県警の裏金作りの資料が流出したことで、

告発者の正当性が証明されたことも描いています。

金子さんを支援する人たちが裁判費用のためにカンパをし、

あっという間に1600万円も集まりました。

一審は罰金150万円の有罪。その後最高裁で無罪を勝ち取るまでに7年です。

そして無罪確定から1年半後に42歳の若さで亡くなってしまいます。

金子さんが、一審の有罪を受け入れ150万円を支払い、

裁判を終わりにしていれば、金子さんにとっても、

その後の日本の情報技術業界にとっても、むしろ

好ましかったのではないでしょうか。

米国でも同じような裁判がありましたが、開発者は罪に問われることなく、

その後Spotifyを起業しているとのことです。

新しい技術による不具合があったとしても、技術そのものを否定しません。

その技術をより良く生かすよう工夫し、発展させていく。

「プログラマーを委縮させてはいけない。」金子さんの裁判継続の想いは、

「挑戦する人を応援する社会にしたい。」ここにあったようです。

もしも金子さんが、ソフト開発に没頭できる社会だったなら・・・、

日本にもGAFAのような企業が生まれていたかもしれない。

関係者の中では、この裁判を惜しむ声が少なくありません。

映画では、(恣意的にでしょうか)裁判長は映像的には老人、

(情報技術の知識の乏しい)警察の強引なやり方が描かれ、やるせない思いがしました。

映画の脚本・監督をした松本優作氏は,

〝今から20年前に中央サーバーを頼らずとも、個人個人で助け合い生きて行く、

夢のネットワーク世界がwinnyでしたが、winnyの開発は幕を閉じました。

一審判決の2年の間に米国では、YouTubeを始め新しいサービスが生まれています。〟

〝もし金子さんが逮捕されていなかったなら、今の日本は大きく変わっていたかもしれません。

悔しいのは、彼のような天才が裁判の7年間で未来を奪われたこと〟と、ツイートしています。

松本氏は、「挑戦する人を応援する社会にしたい」という未来に対する

金子さんからのメッセージを受け取ってもらえれば嬉しいとのことです。

Winnyは、違法で禍々しいもの、使ってはいけない。と、

刷り込まれていたことに気づかされた、私には秀逸な映画でした。