シャドーワークで時間が奪われる

「シャドーワーク」って、ご存知ですか。

 

例えば、以前書きました

ユニクロの無人レジの清算も、

飲食店でタブレット端末を使い注文するのも、

デジタル情報を入力するのも、

かつてはサービスを提供する側の仕事でしたが、

今では顧客が無報酬でしている。

ユニクロのレジのときは、凄いなぁ~、進歩しているんだと感心しましたが、

よくよく考えると、これって本来はお店の仕事なはずでは。

こうしたシャドーワーク(本来は企業の仕事を顧客に押し付ける)で、

生活者の時間を奪っていることが、果たして経済合理性に繋がるのか、

週に何時間もシャドーワークに費やせざるをえないことに問題はないのだろうか。

米国では、労働者の生産性が低下していることの原因のひとつが、

シャドーワークとの見方があるようです。

 

 自覚することなくさせられている

「コロナになって、自宅待機でも入院費が下りるって聞いたけれど。」

保険会社のコールセンターで手続き書類を請求するようご案内しました。

「何度かけても出ないのよ。」

「音声案内で、何番に該当するかよく分からなくて。。」

今度は、

「スクリーンショットで送れって何?」

請求すれば貰えるはずの給付金の手続きが進まず、86歳の女性は困っています。

代理で、〇〇生命に電話をしましたが、

本人あるいは子ども以外からの電話でない限り受けられないとのことなのです。

「子どもさんは海外で、ご本人以外身内はいないのです。」

「手続きが書類を見ただけでは分からないので教えて。」

最後はけんか腰の口調になってしまいましたが、何とも埒があきません。

86歳の彼女じゃなくても、私だって送られて来た書類を見ても理解できないことも、

電子機器の使い方や故障のときのリカバリーのし方も説明書を見ただけでは分からない。

コールセンターが繋がらない。

こんなこといくらでもあります。誰か、もっと丁寧に教えて!

 

 

企業はアリバイ作りのように、

ネット上に掲載しているし、

チャットでの質問もコールセンターもある。

 

でも、高齢者にも分かるようにはなっていない。

それが出来ないとことが進まず、

時間を費やしてしまう。

 

消費者側は自覚することなく、

シャドーワークさせられてしまう。

個々の企業にとっては、経費削減や仕事の合理化かもしれませんが、

それが全体となると果たしてどうなのか。

一つひとつを見ると正しくてもそれが合わさると合成の誤謬となってしまわないのか。

A社のタスクは1減っても、A社の社員は他社のシャドーワークが1増えていて、

社員100人では全体として100のシャドーワークとなり、

結局ロスの方がはるかに大きく、労働生産性低下となっていないのか。

シャドーワーク、見えない労働、売主側への無報酬の労働提供、

今まで意識されることなく、随分広がってしまったのでは。

程度の問題、全て対面でとは言いませんが、

せめて問い合わせくらいには分かるように説明して欲しい。

それとも、 Chat GPTのようなAIが全て解決してくれるのだろうか。