突然ですが質問です。
Q.親が介護状態になったら、どうしますか。
介護経験がある方ならともかく、私はおどおどしつつ、
ネットで検索くらいしか思い当たりません。
所属する多摩FP研究会の1月の実務研修は、
〝親の介護や自分の老後に向けた備え〟でした。
講師の村田くみさんは、
お父様が急性心不全で倒れた36歳の時から介護生活が始まり、
介護離職フリーランスの道を辿られました。
村田さんは、会社は辞めても仕事は続けることで、
家族の介護で自分自身の「老後破綻」を招くことは
避けるべきと仰います。
後先考えずに辞めてしまう。
会社も介護理由なら引き止めない。
どうやらこの辺りに、介護の罠が潜んでいそうです。
介護は一人ひとり状況が違うので、じぶんに置き換えて、
「どんなサービスを使うと仕事を続けられるのか、使える制度を使い倒す。」
とても有意義な研修でしたので、シェアします。
介護は初動が大事
自分が毎日行う家族の世話は「介護」ということに気づかず、
便利な制度があることを知らないで苦しんでいる人が多い。
介護の平均期間は約5年ですが、もっと長くなることを想定し、
金銭的なロスは最小限に抑える。
そのためにも初動は大切と仰います。
先程の質問、介護状態になったら、まずどこに相談するかです。
すぐに思い浮かびますか。
①地域包括支援センター ご存知ですか。
②市区町村の窓口( 高齢者福祉課や介護保険課)
③病院内の「地域医療連携室」
④社会福祉協議会
介護相談の窓口は、お住いの「地域包括支援センター」がよいでしょう。
管轄外はダメなのですが、ここは介護のよろず相談先です。
「市区町村の窓口」は医療と介護が分かれているようですが、
村田さんの話しでは、入院費用やお金の相談なんかも出来るそうです。
「地域医療連携室」は大病院等に備わる部署で、退院の際に支援を行います。
社協「社会福祉協議会」、名前は聞いたことがあっても、
何をしているところかは知りませんでした。
ところがこの社協、凄く使えることが分かりました。
住所地の江東区社会福祉協議会を検索してみると、
介護用ベッドや車いすの貸し出し、杖の配布のほかに、ふれあいサービスなるものがありました。
掃除・買い物・調理などの家事援助サービスは、1時間700円~840円。
通院・外出介助・車いす介助など、介護サービスは、1時間840円~1050円。
電球、電池等の交換、粗大ゴミ・資源ゴミのゴミ出し、
家具の移動や植木の水やりまで、ふれあいサービスでは、なんと30分500円です。
因みに、
「ふれあいサービスは、小さなお子さんのいる世帯から高齢者、障害のある方、
そしてその家族まで、基本的に援助が必要と思われるすべての区民(世帯)を対象に、
有償ボランティアを派遣して家事・介護支援を行う生活援助型サービスです。」 と、ありました。
村田さんは、ご家族が介護になられたら慌てずに、
まず自分のところの相談窓口を探す。
レンタルできるものは購入しない。
「主治医の意見書」が大事!
主治医次第で介護度が変わってくるので、良好な関係を築くことが大事。
知っているのと、そうでないのとでは金銭的な負担も労力も違ってきます。
村田さんのアドバイス
村田さんは、ご自身の体験をお話し下さいました。
・なんでもお金で解決しようとして、貯蓄の底が見えて来た。
・見守りも兼ね、民生委員さんと顔見知りになった。
・シルバー人材センターも活用。
・予約をしたら運行するオンデマンド型交通(乗り合いタクシーやバス)が
あれば買い物や通院に便利。
・子の扶養家族とせず、世帯分離で親を住民税非課税世帯とすることで、
負担軽減を図る。
・ショートステイを繰り返し使う方法。
・医療や介護、葬儀代は立て替えてはいけない。
突然の介護に慌てないためにも、事前に
・どんな介護を受けたいか、終末期はどう過ごしたいかをさりげなく聞いておく。
・親の取引先銀行や総資産をチェックしておく。
・高齢者のためのハンドブック(江東区のものです)
◆介護施設選びは、特に難しいかも知れません。
・住み慣れた地域で受けるサービス(荒川区みんなのあんしん介護サービス)
ケアマネージャーさんの範疇外の施設もあり、料金も様々です。
それぞれの施設の特徴を知ることもですが、
実際の使われ方を教えて貰うことも大切。(ショートステイ施設でも長期滞在が可能)
介護に直面すると、解決しなければならない問題がいろいろ出てきます。
ゴールの見えない介護を出来るだけ楽にするポイントとして、村田さんは、
①「初動」で出来るだけ情報を集める
②介護者のケースを聞いてみる(ケアラーの集まりなどに参加してみる)
③離職が頭をよぎったら、休む選択肢も考える(親の年金をあてにするのはNG)
④ケアマネには「介護側の事情」を素直に話す
⑤離職したとしても社会との接点を持つ(事情に合わせて働く場を見つける)
介護は高齢者に限りません。
若年認知症と診断されたり、疾病が原因で介護状態になる方もいます。
ある日突然介護の当事者になるかもしれません。
そんな時は慌てず、自分一人で抱え込まず、悩みや困りごとを共有すると、
手が空いたときだけでも協力してもらえるようになる。
ご両親の介護を経験された村田さんならではの貴重なお話しに感謝です。