英国の失敗とうり二つの構図

 30兆円の支援

資源価格の値上がりで、電気・ガス料金の価格高を抑えるために、

大幅な補正予算を組み、支援することが決まりました。

平均的な世帯で、ガソリン元売り価格も含めると月に5000円ほどの軽減が見込まれる。

都市ガスの補助900円と合わせると、決して少ない金額ではないですよね。

生活者にとって悪い話のわけがありませんが、支援は来年1月から9月迄です。

必要な支援ではあるにせよ、もっと大変な状況の時に、予算が尽きました。

対応できませ~ん。なんてならなければ良いのですが。

経済対策のための財政支出は39兆円、内一般会計からは29.1兆円です。

2022年度の一般会計予算総額は、110.3兆円です。

新聞には〝 大部分を国債発行に頼る見通しだ。(首相は)財政規律に関する質問に全く答えなかった。〟

と、ありました。

〝これらが正しいことなのかどうか、改めて考えるべきである。〟

と、 国際通貨研究所理事長の 渡辺博史氏は仰います。

英国では、光熱費が8割も上がっているそうですが、国民は渋々であっても受け入れるしかない。。。

国の予算は限られています。

何処かが膨らめば、どこかを減らすか、借金を膨らますしかありません。

補正予算が決まった裏側では、社会保障費関係の見直しが進んでいます。

 

 社会保険料は静かに、こっそりと

自営業者やフリーランスの人などが加入する国民健康保険の保険料が来年度から、

年間上限額が2万円引き上げられ、104万円になります。

高所得者の方にとって、負担増となります。

もう一つの社会保険、公的年金の方は保険料引き上げより給付の抑制に動きそうです。

基礎年金(国民年金)部分の削減です。

国民年金の加入期間を現在の40年から、45年に延長する案も出ています。

更に、厚生年金加入者の妻(配偶者)である『第3号被保険者』の問題も

そろそろ表だった議論となるかもしれません。

自営業の妻は第1号被保険者として保険料を負担するのに、

サラリーマン(厚生年金)の妻は何故自らは負担しないのか。

 

共稼ぎの妻は保険料を払っているのに、(扶養の)専業主婦は払わないで済むのは不公平。

独身サラリーマンは、第3号被保険者分の保険料も負担している。

以前から、『第3号被保険者』問題は指摘されていましたが、

果たして『第3号被保険者』は、保険料負担を求められるのか、

『第3号被保険者』そのものが廃止となり、1号被保険者として、負担するのか。

社会保険料は、「社会保険という目的税」ですが、

国会の審議を受けることなく上げることが出来る税金です。

生活者は、気が付いたら上がっていた、かもです。

 

 イギリスの混乱は何を意味するのか

英国のトラス首相が就任44日で辞任しました。

インフレの炎が燃え盛る中、火に油を注ぐような公約の減税策を実施しようとしたところ、

猛烈な英国売りに見舞われました。債券、株式、ポンドの下落です。

市場が政治を打ち負かしたなどの報道もありましたが、理にかなわないことは無理なだけです。

29日の日経新聞一面には、

〝野村総合研究所の木内登英氏は「低所得者対策や『人への投資』など重要で緊急の項目に絞るべきで、

規模ありきの対策は通貨安やインフレをむしろ助長させる」と話す。 〟

社説には、 〝今回の対策は英国の失敗とうり二つの構図だ。〟とありました。

国民にとって支援はありがたいし、為政者にとっても国民のためと胸を張れます。

けれど、それが本当に、国民にとって優しい結果に繋がるだろうか。

一見耳障りの良いこと、優しい支援でも、

後々大きな負担増となって返ってくるのでは、意味がありません。

税金も社会保険料も負担するのは国民です。

ともあれ、山田隆夫さんのように資産からの収入があれば心強いですよね。

不動産からの収入でなくても、金融資産からの収入は大きなお金がなくても、

確定拠出年金やNISAで、誰にでも作ることがます。