円安でダメになるの?
「日本はダメなの。潰れちゃうの?」
高校生からの質問です。
彼女はお小遣いで、投資信託の積立をしていてお金の話も大好きです。
「お金の話が好き」なんて書くと、眉をひそめ、誤解されますよね。
「お金を通して見える経済や諸々のことに興味関心がある」が正解です。
円は1ドル260円位になるの?
高校生でも、いえそろそろ選挙権を持つのですから関心があって当然かな。
もう少し上手に説明出来ればよかったな、と振り返っています。
日本にとって、円安になるということは
ガソリンの原料原油は輸入品なので、
今まで1㍑100円で買えていたガソリンが137円になると、
家計の支出が多くなる。
ガソリンだけでなく資源や食品も沢山輸入している日本は
それだけ国内から出て行くお金が多くなります。
また、日本の会社が海外進出しようと、
土地を買ったり設備投資をするときに
予定していた100億円の予算が137億円に上がってしまう。
外国の企業を買収するにも、
為替レートだけで今までの予算より大幅に高くなる。
為替要因だけでビジネスを断念しなければならないとなると、
日本にとって円安は良いとは言えず、
長い目では国力の低下に繋がるかもしれません。
反対に、日本から《とちおとめイチゴ》を輸出するときは、
今まで一粒100円だったものが137円になってくるのだからこれは嬉しい。
ただし為替は相対的なもので、米国側から見ればドル高が進むと
米国の輸出代金の受取が少なくなります。
そうなると米国の輸出産業の収益が減るので、
ドル高を抑制する動きが出てきます。
米国の経済の方が圧倒的に強くない限り、
円安が青天井に進むとは考えづらいのですが、
果たして円は1ドル260円位にまでになるのか。
そうなった時、日本は潰れてしまうのか???。
日本は借金が多いからダメになるの?
日本の国と地方を合わせた借金(債務残高)は
名目国内総生産(GDP)比率でみると257% 。
つまり、日本が1年間に稼ぐお金の2.57倍
ざっくり1,000兆円以上の借金があります。
残念なことに借金は増える一方なのです。
出典:財務省ホームページ
日本は、歳出(使うお金)が歳入(税収)を上回り、
足りない分を国債発行で穴埋めしています。
この状態が是正されないと、将来世代に負担を先送りすることになります。
現在の世代が、税収に見合わない手厚い社会保障や給付金などを要求し、
政治もそれに応えるために(ポピュリズム)赤字国債(借金)を出し続けると、
近い将来歳出の3分の2は赤字国債の償還(返済)ですなんてことになりかねません。
若い世代の日本国民が、自分たちのために使えるお金が少なくなります。
そうなると、老朽化した道路は直せません、救急車も有料ですとなるかも。
それ以前に増税や社会保障の削減が先なのでしょう。
家を買う時に住宅ローンを組みますよね。
3000万円を金利1%、35年返済では毎月の返済額は8万5千弱です。
これなら返せる、いや今は金利が低いから5000万円位借りても大丈夫、
もう少し借りよう。。
住宅ローンは、借りた人が35年かかって返済します。
途中で返済が出来なくなると、折角のマイホームも取りあげられてしまいます。
国の借金も理屈は同じなはずです。借りた世代の人が返す。
ところが、国の借金は35年という返済期限がありません。
100年先まで借金返済が続いてもいいと考える人、政治家がいると
いくらでも赤字国債の発行は続きます。
そんな状態の日本は外国からどう見られると思いますか。
信用力は低下・・、なんてものではないですよね。
残念ながら、日本の潜在成長率の低さからみても、
今後も円安基調(短期で円高に戻るとしても)は変わらないと予測します。
真摯にプライマリーバランス(基礎的財政収支)がプラスになるように取り組み、
借金を少しでも減らす努力をしないと、
高校生が心配するように「日本はダメに、潰れちゃう」かもしれません。
そうならないようにするのは、現世代の責任と思います。