金融教育スタート
4月から、高校家庭科で金融教育の授業が始まり、投資信託などの金融商品についても学ぶようです。
やれやれようやく、高校で授業が始まる。。。
2004年から、3年間某専門学校で
ファイナンシャルプランの授業を担当した身としては、
あまりにも遅すぎるとしか言いようがありません。
私が担当したときの教科書は、米国の「Financial Planning Program STUDENT WORKBOOK」
(学生のためのファイナンシャル・プランニング・プログラム)です。
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が翻訳したもので、
元々米国のテキストなので、日本の実体に即したものではないためしっくりこないのは致し方なく、
ここはこんなふうに伝えよう等々一応工夫はしました。
ところが、このテキストはたった3年で廃版となり、授業もそれまでです。
何故、廃版となったのか。理由は後に新聞記事で知りました。
廃版の理由は、、、当時の日経新聞記事には
《教育現場の評価は芳しくない。
ベンチャーを興して財を成した起業家を成功モデルとして描いた点が、
射幸心をあおるかのように受け止められて批判を浴びた。》と、ありました。
成功者モデルとしては、楽天社長の三木谷浩史氏やソフトバンクの孫正義氏が載っていました。
15年前の話しです。
当時でも金融ビックバンだの、「貯蓄から投資へ」は既に古びた言葉でしたが、
その頃の認識はこんなものでした。
日本は、ユニコーン企業((企業価値が10億ドル以上の未上場企業)が
米国や中国どころかインド、韓国より少なく、
経団連は今頃になってあわてて100社に増やす目標を掲げたようです。
授業は好評だったと思います。
学生からはもっと早く聞きたかった、と言われました。学生ですよ!
授業以外でも先生や保護者にも講義の機会を設けて頂きました。
講義の後、証券口座の開設のし方を質問され、
実際に投資信託の積立を始められたお母様もいらっしゃいました。
NISA制度が始まる以前のことです。
金融教育イコール投資教育ではない
誤解しないで下さい。
金融教育は、投資教育だけではありません。
先の米国版のテキストでも、投資に関する部分は、全体の2割です。
テキストの目次は、以下の通りです。
第1章 ファイナンシャルプランニングとは何か?
第2章 夢を実現する方法
第3章 成功への道
第4章 クレジットの罠にはまるな
第5章 リスク対策は万全ですか?
第6章 時間を味方に付けましょう(投資に関する章)
第7章 管理するのは皆さん自身です
結構ワクワクする内容なんです。
米国の金融教育は、キンダーガーデン(小学校入学の1年前)から始まります。
キンダーガーデンではNeedsとWants(必要なものと欲しいもの)について学びます。
小学校で債券が出てきます。
中学2年までに、投資は長期的目標を達成するための資金とあります。
リスクとリターンの関係や複利についても学びます。
高校3年までに学ぶべき知識として、
1.一般に、将来の価値が予想しづらい資産ほど、収益率が高い。
2.税控除や繰り延べが受けられる金融商品は、長期的に収益を増やすのに大きく貢献する。
ドルコスト平均法、株式や投資信託などの金融商品について学びます。
米国の金融教育の担い手は、家庭科の先生ではなく、
投資教育を担うNPO法人や、IFA、クレジット会社からの派遣者といったところです。
「金融教育」とは、硬い言葉ですが、お金に関することは生活を見つめることです。
生涯を見通したお金の管理(パーソナルファイナンス)について学ぶのは重要で当然のことです。
私も金融について学ぶことなく大人になりました。
今思うと、早いうちに学ぶことが出来たなら人生変わっていたと思えます。
あっ、何もお金持ちになっていたとは違いますよ。
投資家頭では、日本は20年損しているなぁ。。と、考えてしまいます。
「確定拠出年金」が始まったのが2001年です。
20年前から確定拠出年金で世界株に毎月2万円積立てしていたら優に1000万円超してたのに。。
現実は、毎月2万円の積立先は銀行預金か、生命保険です。
結果は、お分りですよね。
なんで、せっかく作った「確定拠出年金」に魂を入れなかったのか。
確定拠出年金開始と同時に、金融教育がスタートしなかったことを嘆く識者は当時も多かったのです。
パターナリズム(国家の親心)が足りない。。。
「企業型確定拠出年金」では、企業が導入時に投資教育を義務付けられており、
徐々に投資運用の理解と実践が浸透し、成果が出ています。
今後「学生のためのファイナンシャル・プランニング・プログラム」について、
こちらのブログでも、少しづつ取り上げたいと思っております。
果たして大人の皆様のご感想はどのようなものになりますか。