冬のロシアの旅

もう半世紀近く前になります。

 

生まれて初めての海外旅行は、ソビエト連邦(ロシア)でした。

 

 

「冬のロシア芸術の旅」と銘打ったクリスマスから

ニューイヤーにかけてのパック旅行で、100名を超す大旅行団です。

 

新潟港から船でナホトカに渡り、そこからハバロスクまではシベリア鉄道、次に飛行機で延々と夕日を追いかけてモスクワに移動です。

 

夕暮れ時が何時間も続くのです。

ソ連の広大さと、地球は丸い、氷点下の世界が一遍にインストールされました。

 

芸術の旅ですので、毎日、毎夜、超一流のバレーやオペラ、観劇、エルミタージュ美術館や帝政ロシア時代の宮殿を巡り、ボルシチやビーフストロガノフの豪華な食事。

イケメンのガイドさん達にポーッとなりながら、竜宮城に来た浦島太郎の気分です。

 

そんな竜宮城でも2週間近く滞在していると、見えてくるものがあります。

バスやトラックの運転手、夜の空港で働く人も、免税店の店員も見かけるのはみな女性です。こんな仕事まで女性なんだ。。。

男性は、、、飛行機の中で見たのは乗客を監視する(最前列は乗客席と向かい合わせ)軍服を着た人達。

モスクワも、レニングラード(現ペテルブルグ)でも、隊列を組んで歩いているは軍服姿の男性。

男はガイドさん以外みんな軍人なんだねと、参加者同士で冗談話しです。

私達旅行者は、毎晩特等席で芸術鑑賞でしたが、

劇場の外にはそれこそマイナス10℃以下のところで、

ずっと立っている人達から観劇の切符を譲って下さいと声を掛けられました。

ボリショイバレーも、サーカスも、オペラも、みな旅行者と、

軍服を着た人とその連れ合いのものです。

一般の人たちが気軽にチケットを取れるようなことは無いのでしょう。

チケットを、と言って近づいてくる人は、軍服を着た人に小突かれて追いやられます。

モスクワ市内でも、酒瓶を片手にした酔っぱらいが旅行者の目に留まると、

すぐに軍服の人が出て来て追いやります。

あくまでも50年近く前に私が見た旧ソビエトの話しです。

ソ連邦が崩壊したときに、ホットした思いがしました。

これで、ロシアの人達も自国のバレーやオペラも自由に見られるかな。

出会ったロシアの人達は一様に素朴な印象だけが残っています。