30年前の痛み

かれこれ30年以上も前、そうバブルの絶頂期の頃です。私は中堅生命保険会社の営業部隊におり、その頃の最大の手柄が某組合傘下の会社に「厚生年金基金」の設置ができたことでした。総合型と言われる同業組合が導入でき、しかも厚生年金の一部を代行運用できるあの「厚生年金基金」です。

 

従業員さん達に対する制度の説明会を終えた後、当時の会長が仰ったことを今も忘れることができません。『みんな(従業員)半分も分かってないが、60歳になった時今の給料(アップ)より感謝するよ。』70代の会長は社員の老後を見越して「厚生年金基金」導入に賛同して下さった方です。

 

それから間もなくバブルが弾け「厚生年金基金」は運用もままならず、解散も相次ぎ惨憺たる運命を辿ります。導入間もなく、私は寿退社をしてしまいその後の基金がどうなったのか見届けることも出来ませんでした。。。

「厚生年金基金」の文字を目にするたび、棘がうずきます。国(当時の厚生省)が旗振りした制度で、誰も「厚生年金基金」がこんなことになるなんて思った人はいないでしょう。でも、現実に起こったことです。公的年金に準ずる「厚生年金基金」でも、「絶対」ではありませんでした。

 

「絶対」がないのであれば「どんな風が吹いてもいいようにしておくこと」しかできないのかも知れません。「確定拠出年金」は、「絶対こうなります」はありませんが「確定拠出年金制度の崩壊は考え難い」です。

 

言い換えれば、他のどの年金制度(公的年金・確定給付型年金)よりましかも知れないと思っています。

何故なら、企業が「運用リスクをとること」と「確定した金額の退職金を払う」ことがない仕組みだからです。

従業員にとっても、会社を変わってもそのまま持って行ことができ、例え会社が倒産しても退職金までは無くならないのが「企業型確定拠出年金」制度です。